[メイン2] 皐月夜見 : 夜明けの太陽が、冷たいビル群に光を灯す。
眠る街に、命の息吹が吹かれていくように。

[メイン2] 皐月夜見 : ────尤も、その地には誰もいないが。

[メイン2] 皐月夜見 : 白い髪、白い肌の少女が、暗い路地裏の中から
その姿を現す。

[メイン2] 皐月夜見 : 全身を包む影が、足元から徐々に、明るみへと出て。

[メイン2] 皐月夜見 : 「………………」

[メイン2] 皐月夜見 : 無表情の少女は、すぅ……と呼吸を整えた。

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 : "その声"に呼ばれたのは、つい昨日のことでした。

[メイン2] 皐月夜見 : 『叶えたい願いはあるか』

[メイン2] 皐月夜見 : 脳に木霊する、不快感を齎す、不思議な謎の声。

[メイン2] 皐月夜見 : そんな異常に対しても、少女は静けさに包まれ。

[メイン2] 皐月夜見 : 「………………」

[メイン2] 皐月夜見 : ─────あります。

[メイン2] 皐月夜見 : 淡々と、心の中で、返事をした。

[メイン2] 皐月夜見 : そうして、意識は途絶えていき。
気が付けば、この地に、私はいた。

[メイン2] 皐月夜見 : ここは、隔世なのでしょうか。
思念を有する荒魂による支配か、それとも……。

[メイン2] 皐月夜見 : ………どちらにせよ。

[メイン2] 皐月夜見 : 私には、帰るべき場所があり。
そして、掴むべき、"夢"がある。

[メイン2] 皐月夜見 : ………"認められたい"。

[メイン2] 皐月夜見 : かつて、弱かった私を拾ってくれた、あの御方に恩を返すために。

[メイン2] 皐月夜見 : 私という、余りにも矮小な存在に、価値を与えてくれた。

[メイン2] 皐月夜見 : この力は、あの御方の叶えたい夢のため。
そのためなら私は、刀を振るう。
この体をどれだけ酷使しても構わない。

[メイン2] 皐月夜見 : これは、私の生きる意味なのだから。
誰に否定されても、曲げるつもりはありません。

[メイン2] 皐月夜見 : 私の"自由意志"で、私はここに立っているのだから。

[メイン2] 皐月夜見 : すぅ。

[メイン2] 皐月夜見 : また、一呼吸。

[メイン2] 皐月夜見 : 夜見の心には、波一つ立たない、静かな畔があった。

[メイン2] 皐月夜見 : 自分の弱さを知っているからこその、脱力。
己の理解が、己の余裕へ繋がる。

[メイン2] 皐月夜見 : この場所には、他にも"強者"が集っているとお聞きしております。

[メイン2] 皐月夜見 : で、あれば……。

[メイン2] 皐月夜見 : "弱者"なりに、私はこの手で全て振り払うのみです。

[メイン2] 皐月夜見 : 「────折神家親衛隊、第三席」

[メイン2] 皐月夜見 : 私の誇り。

[メイン2] 皐月夜見 : 生きる意味。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……皐月夜見」

[メイン2] 皐月夜見 : 試されているのであれば

[メイン2] 皐月夜見 : ─────応えましょう。

[メイン2] 皐月夜見 : 「推して参ります。」

[メイン2] 皐月夜見 : ぶわりと、一陣の風が夜見の体を過行く。

[メイン2] 皐月夜見 : 揺らめく夜見の前髪。
逆風。それに抗うように。

[メイン2] 皐月夜見 : 一歩、また一歩、前へ。

[メイン2] 皐月夜見 : 夜見の瞳の奥で、燃え広がる荒ぶる魂。

[メイン2] 皐月夜見 : 冷たい都市群で、夜見のいる居場所が、さらにもっと冷えゆくように。

[メイン2] 皐月夜見 : 殺気、一点張り。

[メイン2] 皐月夜見 : 既に抜いた刀に、朝日の光が反射する。

[メイン2] 皐月夜見 : 願いを込めているように─────。

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] デンジ : まっ…ここまで来ればもう大丈夫だろ…

[メイン2] デンジ : 「下ろしてやんよ」

[メイン2] 皐月夜見 : デンジに下ろされ、着地。

[メイン2] 皐月夜見 : 死んだ魚のような瞳で、デンジを見て。

[メイン2] 皐月夜見 : 一礼。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……御助力、感謝致します。」

[メイン2] 美樹さやか : ふわりと、下ろされた風でマントが舞う。

[メイン2] 皐月夜見 : ……私達は、今、"殺し合い"をしている。

[メイン2] 美樹さやか : 「さっきも言ったけど……ありがとね」

[メイン2] 皐月夜見 : 何故、私は、"お礼"を………?

[メイン2] デンジ : 「あーー疲れたぜ…」

[メイン2] 皐月夜見 : ……それに、私がこの方に加勢した理由も……自分でも、分かりません。

[メイン2] 美樹さやか : にしし、と腕を組んで笑いかける。
最も空元気に近いが。

[メイン2] デンジ : 「礼なら胸揉ませてくんねえかなぁ………」

[メイン2] 皐月夜見 : さやかを一瞥しながら。

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………」

[メイン2] デンジ : 「あっ、やべ…声出てたか」

[メイン2] 皐月夜見 : 胸………。性交渉、でしょうか。
なるほど。

[メイン2] 皐月夜見 : それが目的ということでありましたら、納得ではあります。

[メイン2] 美樹さやか : 「………あ、さっきもありがとね!助太刀感謝っていうか!」
皐月の方を見て、そちら笑いかけながら。

[メイン2] 皐月夜見 : 「………御随意に、貴方には御恩がありますので」

[メイン2] 美樹さやか : 「……む、胸……!?いやいやいや、さやかちゃんはおさわり厳禁だよ!?」

[メイン2] 皐月夜見 : 無業上で、虚ろな目で、淡々とそう返す。

[メイン2] 美樹さやか : 「ちょいちょい!!」
慌てて皐月の方を向き直り。

[メイン2] デンジ : 「マジで!?揉ませてくれんのかぁ!?」

[メイン2] 皐月夜見 : 普通の少女と、全く異なった反応。

[メイン2] 皐月夜見 : 「………?」
さやかの方を向き、首を傾げる。

[メイン2] 美樹さやか : 「あんたねえ…少しは恥じらいを持ちなさいよ!」

[メイン2] デンジ : 「じゃあ遠慮なくよォ……」

[メイン2] 美樹さやか : 「そしてあんたも、セクハラまがいなことするんじゃなーいの!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「"安い"等価交換と、私は認識しておりますが……」

[メイン2] 美樹さやか : ぴしり、とデンジに指を突き付けながら。

[メイン2] 美樹さやか : 「女の子に価値つけようって方がおかしいんだっての」

[メイン2] 皐月夜見 : 皐月夜見という少女は、感情が無い、というわけではない。

[メイン2] 皐月夜見 : ただ、自己肯定感が希薄であり。
自分に対する価値を、低く見積もっている。
そのため、人体実験に協力した過去もある。

[メイン2] デンジ : 「チッ………胸くらいいいだろーが本人も納得してるんだからよ」

[メイン2] 皐月夜見 : 「……………」
それにしても……。

[メイン2] 皐月夜見 : さやかとデンジの会話を見て。

[メイン2] 美樹さやか : 「こんな”戦い”に参加してるからあんまり言えないけど……」
「それでも、自分を大切にする心くらいは持ちなさいよね」
腰に手を付けながら、やれやれと。

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………」
さやかの言葉に、眉を顰める。

[メイン2] 美樹さやか : 「優勝したら願いにでも頼めばいいじゃないの」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………失礼ながら、美樹さやかさん」

[メイン2] デンジ : 「つってもなー…オレはよぉ…叶えたい願いってのは自分で叶えねーと意味ねーからな」

[メイン2] 皐月夜見 : 「私達は、"敵対者"」

[メイン2] 皐月夜見 : 「何故そのような、親身な態度を取られているのですか?」

[メイン2] 皐月夜見 : 「それは、貴方も同じ、何故私達を助けたのですか?」

[メイン2] 皐月夜見 : さやかと、デンジを見つめる。

[メイン2] 美樹さやか : ……な、なんだか…問題児ばっかりで……
肩の荷が下りないわ……なんで常識人やってんだろ、あたし…

[メイン2] 皐月夜見 : その問いは、私に対する問いでもある。
あの場で、さやかに助力した、自分でも分からない理由。

[メイン2] 美樹さやか : 「……ん」
その皐月の問いに、ぴたりと思考を止めて。

[メイン2] 美樹さやか : 「あんただって、あたしのこと助けてくれたでしょ」

[メイン2] デンジ : 「あぁ?なんでだろうな…言うなれば……胸揉てぇからか?いや、多分違うか」

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………」

[メイン2] 美樹さやか : 「それに……別に今は、剣で戦ってるわけでもないんだから」

[メイン2] 美樹さやか : 「なら、この場にいるのはふつーの女二人と男一人でしょ」

[メイン2] デンジ : 「まっ、オレの目の前でかわい子ちゃんが死なれるのはいささか気分わりーからなぁ…」

[メイン2] デンジ : 「そんだけだ」

[メイン2] 美樹さやか : 「それなら、優しくしたって、話たっていいでしょ」

[メイン2] 美樹さやか : にっ、と笑いかけながら。

[メイン2] 皐月夜見 : ………二人の言葉に、嘘の気配は、見当たらない。

[メイン2] 皐月夜見 : 夜見は、2人の言葉に対しても、無表情で、虚ろな眼のままであったが。

[メイン2] 皐月夜見 : 「………概ねは、理解致しました。」

[メイン2] 皐月夜見 : 「……ですが、お二人"も"、この世界に来ているということは……」

[メイン2] 皐月夜見 : 「願望」

[メイン2] 皐月夜見 : 「……それを持ち合わせているはず、そうですよね?」

[メイン2] 美樹さやか : 「ん……まあ、ね」

[メイン2] 美樹さやか : 願望、自らが望む欲望。

[メイン2] 美樹さやか : 「それを譲るつもりはないよ、勿論」

[メイン2] デンジ : 「さっきも言ったけど… オレの叶えたい願いってのは自分で叶えねえと意味ねぇからな」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………なるほど」

[メイン2] 美樹さやか : ……優勝すれば、確かにあたしは……魔法少女の呪縛、その呪いから解き放たれる。

[メイン2] デンジ : 「だから今は願いを叶える為に戦ってねえな…なんで参加してるんだろうな、オレ」

[メイン2] 美樹さやか : その呪いから脱却するには、どんな手を…とも思っていたが。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……望みは、譲れないもの、そして、己の手で叶えるもの……それは……同意致しました。」

[メイン2] 皐月夜見 : ………尤も、私は。

[メイン2] 美樹さやか : 「……も、って言ってたよね、あんたは?」

[メイン2] 皐月夜見 : 己の手で掴めるほどの力が無い。

[メイン2] 皐月夜見 : 「あります」

[メイン2] 美樹さやか : ちらり、と皐月に向き直り。

[メイン2] 皐月夜見 : さやかの瞳を、じっと見つめ。

[メイン2] 美樹さやか : 「……へえ」

[メイン2] 皐月夜見 : 「私の生きる理由も、そこにあります」

[メイン2] 美樹さやか : …まあ、あんな殺意と剣術に長けてたんだ。
勝ち取ろうとする意志が、見えた。

[メイン2] 皐月夜見 : 「さやかさん、貴女と同様です。譲れません。」

[メイン2] 皐月夜見 : 殺意こそ無いにせよ、さやかと敵対の気を放つ夜見。

[メイン2] 美樹さやか : 「………なるほどね」

[メイン2] 皐月夜見 : 「私の夢を折る覚悟」

[メイン2] 皐月夜見 : 「お二人にはあるのですか?」

[メイン2] デンジ : 「いんや、オレはリタイアしても構わねーなぁ」

[メイン2] 美樹さやか : 「じゃ、譲れない同士友だちってわけだ!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………」

[メイン2] デンジ : 「ただ胸が揉めねーのはなァ〜〜〜〜」

[メイン2] 皐月夜見 : ……これ、は……想定、外……。

[メイン2] 皐月夜見 : 夜見の瞳が、揺らめく。

[メイン2] 美樹さやか : 「……さあ、ね」
「あたしは負けられない、とは思ってるよ」

[メイン2] デンジ : 「つーかリタイアする方法ってあんのか?これ…」

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………私と敵対してもなお、"友達"…… そして、デンジさんはリタイアしても、構わない……」

[メイン2] 美樹さやか : …解放されたい、その気持ちは本当だ。

[メイン2] 皐月夜見 : ………私は、私は……。

[メイン2] 皐月夜見 : そんな答えを導き出すお二人が、眩しくて、眩しくて。

[メイン2] 美樹さやか : 「……でもね、あんたがどーしてもっていうなら」
「あたしは負けたって、構わない」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………っ……」

[メイン2] 美樹さやか : ちら、と皐月に目を向ける。

[メイン2] 皐月夜見 : 無表情の顔に、動揺が走る。

[メイン2] 皐月夜見 : ………本当に、これは、一体……。

[メイン2] 皐月夜見 : ……これでは、これでは、まるで……。

[メイン2] 皐月夜見 : 私が………"認められている"ようで……。

[メイン2] 皐月夜見 : 私が、望み続けた未来。

[メイン2] 皐月夜見 : 誰かに認めてもらいたい。知ってほしい。
理解し合いたい。

[メイン2] 美樹さやか : でも、さ……
そこがありか、とか言う奴に……負けられるかって言われたら、あたしは……

[メイン2] 皐月夜見 : それが、ここに成り立っているようで……。

[メイン2] 皐月夜見 : ああ………なるほど………。

[メイン2] 皐月夜見 : ゆっくりと、瞼を閉じる夜見。

[メイン2] 美樹さやか : ……仁美を認めちゃったみたいに、譲っちゃうかもね。

[メイン2] 皐月夜見 : ─────私の生きる意味、そして価値を見出してくれる場所が、ここにあるのだとすれば……。

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 : 私は、このお二人を斬れない。

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 : 「………左様、ですか……」

[メイン2] 皐月夜見 : さやかと、デンジから目を逸らす。

[メイン2] 美樹さやか : 「あんたもやっさしい~の」
肘でデンジを突っつきつつ。

[メイン2] デンジ : 「あぁ?いやオレは胸を揉みてぇだけで…」

[メイン2] 皐月夜見 : ………ここに、私が忠を尽くす高津学長がいないのであれば……。

[メイン2] 美樹さやか : 「このこの~!」
とか言いながら。

[メイン2] 皐月夜見 : その忠は─────。

[メイン2] 皐月夜見 : さやかと、デンジを見て。

[メイン2] 美樹さやか : 「…………?」
夜見の目に、何かを感じて向く。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……………承服しました、お二人が協力体制を持ちかけるのでありましたら……」

[メイン2] 皐月夜見 : 「……この皐月夜見の体、そして力、どうぞご随意に」

[メイン2] 皐月夜見 : 二人へ、一礼。

[メイン2] デンジ : 「!」

[メイン2] デンジ : 「つまり…胸揉んでいいって事だなァ!?」

[メイン2] 皐月夜見 : さやかと、デンジへ忠を尽くす。

[メイン2] 皐月夜見 : 「何なりと」

[メイン2] 美樹さやか : 「そんなかしこまらなくていいのに!」
あわあわと、手を振りながら。

[メイン2] 美樹さやか : 「ちょっとデンジさぁ~~ん!?」

[メイン2] デンジ : 「何なりと揉ませてもらうぜぇ〜〜〜!」

[メイン2] 美樹さやか : 「あたしがだーめーでーす!」

[メイン2] 美樹さやか : 皐月の前に立ちはだかるように。

[メイン2] デンジ : 「この際さやかでもいいかァ…」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………??駄目なのですか……?」

[メイン2] 美樹さやか : 「なんであたしになるのよ!?!?」
手を胸の前でクロスしながら。

[メイン2] 美樹さやか : 「体を大事に……あーもう!」

[メイン2] デンジ : 「いや…オレが許可するからなァ!!!」

[メイン2] 美樹さやか : 「……この戦い勝ち残って、それでもあんたが立ってられたなら…」

[メイン2] 美樹さやか : 「あたし含めて好きにすればいいけど、それまでダメだから!」

[メイン2] 美樹さやか : ……いやいや、何言ってんのあたし!

[メイン2] デンジ : 「あ〜〜〜??なら仕方ねえなぁ……」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………勝ち残る、ええ、そうですね」

[メイン2] 皐月夜見 : この3人で、最後まで勝ち残ることができるのだとすれば。

[メイン2] 皐月夜見 : それは………。

[メイン2] 皐月夜見 : 夜見の、無表情の顔が、少し緩み、笑みが見えたような……
……気がした。

[メイン2] 美樹さやか : ……なんだ。

[メイン2] 美樹さやか : ちゃんと笑えんじゃん。

[メイン2] 美樹さやか : それに釣られるように、にっと笑い。

[メイン2] デンジ : 「あー笑顔もいいんじゃねえのか?」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………笑顔……?」

[メイン2] 美樹さやか : 「ん、まあ……しっかり笑ってたよ」

[メイン2] デンジ : 「あー…自分が笑ってる事に気付かなかったのかぁ?」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………???」

[メイン2] 美樹さやか : 「…………!」
何かをたくらんだような顔で。

[メイン2] 美樹さやか : 後ろに回り。

[メイン2] 美樹さやか : 「こうすればいい!デンジ夜見の笑顔を目に焼き付けておけ~!」
思いっきり…くすぐろうと!

[メイン2] 皐月夜見 : 「っ!?!?」

[メイン2] 皐月夜見 : 「あっ……さ、さやかさ、ん……!?ん、ふ、ふふ……!やめ……!」

[メイン2] デンジ : 「!」

[メイン2] デンジ : 「目に焼き付けておくぜ〜!!」

[メイン2] デンジ : ゆ、揺れてる…すげえ……!

[メイン2] 美樹さやか : さやかの顔には、にやけた顔が写りながら。

[メイン2] デンジ : 「いや…いいもん見せてもらったぜ…笑顔といい胸といい…」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………!!」

[メイン2] 皐月夜見 : わ、私を……見てもらえてる……。

[メイン2] 皐月夜見 : ……心が、あったかい、です……。

[メイン2] デンジ : 「なんというかァ……ありがとうございましたぁ!!!!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「……ぁ……えっと……こちら、こそ……?」

[メイン2] 皐月夜見 : 困り顔で、一礼。

[メイン2] 美樹さやか : 「…へっへへん、ちゃんと可愛いじゃん、夜見」

[メイン2] 美樹さやか : 後ろから顔をのぞかせて。

[メイン2] 皐月夜見 : 「かわ、いい………?」
……ちょっと、恥ずかしい、ような……。

[メイン2] デンジ : 「確かにな…可愛かったぜ…夜見」

[メイン2] 皐月夜見 : 「ぅ………」

[メイン2] 皐月夜見 : 目線が、どうしても逸れてしまう。

[メイン2] 美樹さやか : そんな夜見を、うりうり~と頬をつきながら。

[メイン2] 美樹さやか : 3人を照らすように、朝日が差し込んでいた。

[メイン2] 美樹さやか : 不協和音を奏でる、血にまみれるような、皐月の夜は完全に明けた。

[メイン2] 美樹さやか : 悪魔がはびこり、魔女が不幸をまき散らし、剣技を散らし合う。
それはまだ、始まらない。

[メイン2] 美樹さやか : これからは別のCD、新しい曲の始まりだ……なんてね。

[メイン2] 美樹さやか :  

[メイン2] 美樹さやか :  

[メイン2] 美樹さやか :  

[メイン2] : 冷たい摩天楼が屹立する無人の都市部。
そこに日の出に照らされ『三人』の人影がはっきりと揺らめいているのに気づく。

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………」

[メイン2] 皐月夜見 : 談笑していた夜見の表情が、一変。

[メイン2] 皐月夜見 : 「………皆さん」

[メイン2] 皐月夜見 : 注意を促し、周囲を見渡す。
……何者かがいることは確か、しかし……。

[メイン2] 皐月夜見 : どこにいるかが、不明。

[メイン2] 美樹さやか : 「……!」
変わった夜見の顔を見て、ごくりと息をのむ。

[メイン2] : 静寂。先ほどの轟音に包まれた荒野とはまるで違う。
もはや太陽の熱がチリチリと聞こえてくるかってぐらいによォ~~……

[メイン2] 美樹さやか : 来たんだ、とこくりと頷く。

[メイン2] 皐月夜見 : 耳が痛いくらいに静けさが広がり。

[メイン2] : 『気配』を察知されたか。
が……こちらには気づかれていない。敵影をハッキリと視認する。
へっ……こりゃあ見た目に反して、物騒だがよォ~……

[メイン2] : ガキじゃあねーかッ!

[メイン2] 皐月夜見 : 静かに、腰から愛刀を抜く。その刃先で、日の光が反射し。

[メイン2] 美樹さやか : ……とはいえ。

[メイン2] デンジ : 「あぁ〜?」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………………」
……先程の戦いで体力を使った今……この襲撃は、厄介……。

[メイン2] : が……ガキだとしても遠慮ってのはしねェー
ぎゃあぎゃあ喚き散らされようが オレはギャングだからよォ~……

[メイン2] : トン
  トン

[メイン2] 皐月夜見 : 写シの回復も、まだ時間が足りない……。

[メイン2] 美樹さやか : さっきの勝負の消耗が、結構堪える。
自らの腹を見て、宝石の輝きは、回復しきっていない……

[メイン2] サーレー : ―――『解除』だッ!!

[メイン2] サーレー : 上空から一つひとつじっくりと、モールス信号を打つみてェーに叩いた石を
まるで銃弾の雨の如く降り注がせるッ!!

[メイン2] 皐月夜見 : 「っ…………!?」

[メイン2] 皐月夜見 : 咄嗟に空を見上げる。

[メイン2] 皐月夜見 : キィンッ!と、"ただの石"を刀で幾つか弾いていくも……。

[メイン2] 美樹さやか : 「……!?なっ、こんな数ッ…!」

[メイン2] サーレー : 気づいたが、どうせ届くまい。
なんせ……オレは今空中を歩いてるからよォ~ ちと精密性に欠けるんで……
ゆっくりと歩かねえとバランスが悪ィけどよォ~~~!

[メイン2] 皐月夜見 : 「ぐっ………!?」

[メイン2] 皐月夜見 : 鎖骨の辺りに、小さな石ころが、貫く。

[メイン2] 美樹さやか : 剣を持ち上げ、その石礫を跳ね返そうとするが。

[メイン2] デンジ : 「…ちぃ!」

[メイン2] 美樹さやか : …硬ッ…!?

[メイン2] 皐月夜見 : 血は、未だ吹き出ず。
されど、"写シ"は解除されてしまう。

[メイン2] 美樹さやか : 「ッ、があ!」

[メイン2] デンジ : 胸の紐を引っ張るオレ

[メイン2] 皐月夜見 : 音速を越えた投石。夜見のエネルギー体を打ち破るには十分過ぎる程であった。

[メイン2] 美樹さやか : ”込められた力”に、押し負けてしまう。

[メイン2] デンジ : 「クソがぁ!!!!オラァッッ!!!!」

[メイン2] 美樹さやか : 夜見もあたしも、まださっきのが響いてる…ってなりゃあ…!

[メイン2] 皐月夜見 : 「………!」

[メイン2] サーレー : 「命中(ヒット)ッ!! ……!! なんだァ~! あの女……血の一つも吹き出しやしねぇッ!! 生身じゃあねえのかッ!?」

[メイン2] 美樹さやか : 「デンジ、いける…… ッ!」

[メイン2] 皐月夜見 : その怒号の先を見ると─────。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……荒魂……!」

[メイン2] 美樹さやか : 石礫のあられに、体中穴が開いてしまっている。

[メイン2] 皐月夜見 : 頭部が"チェーンソー"となった、デンジの姿を見て、その眼が見開く。

[メイン2] デンジ : 沢山の石を弾いたが2人に怪我させた奴は許せねえなァ…!

[メイン2] 美樹さやか : が、その方向を見ると。

[メイン2] 美樹さやか : 「……魔女…つーか、悪魔みたい……」

[メイン2] 皐月夜見 : ……なるほど、彼もまた、人体実験により力を……?
それでいながらも、あの明るさ……精神力は……。

[メイン2] サーレー : 何ィ~!? こ、今度はあの男ッ!!
あの頭部……なんだ……チェン ソー? スタンドかッ!? 本体一体型の……

[メイン2] デンジ : 「何処にいやがる!!上だなぁ!!」

[メイン2] 皐月夜見 : やはり、尊敬、できます……。

[メイン2] 美樹さやか : ……怪我は回復していない。
これ以上魔法を使ってしまったら……。それに。

[メイン2] 皐月夜見 : 「! 上空……!?」

[メイン2] 美樹さやか : ……友だちなら、任せられる……!

[メイン2] 美樹さやか : 「……浮いてる……みたい…?」

[メイン2] 皐月夜見 : そして、遠く、遠くを、目を細め─────。

[メイン2] サーレー : 「届くものなら飛んでこいッ!! 飛んできてみなッ!! 報酬はこんなちっぽな石ころだけどなァッ!!!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………」

[メイン2] 美樹さやか : 肩を抑えながら、遥か上を見る。

[メイン2] 皐月夜見 : ……私は、さやかさん、そして、デンジさんの勝利のために─────。

[メイン2] デンジ : 「そこだなァ〜〜!!!
チェーンを伸ばし空へと向かうかァ…

[メイン2] 皐月夜見 : 腕を上げ、抜き身の刀で傷つける。

[メイン2] サーレー : 再び、石を「固定」し
スタンド像にモールス信号を打つかのように、無数の石を指先で叩かせる。
まあこれで残弾は尽きるが、このまま空中を歩いて悠々と退散はできる。

[メイン2] 美樹さやか : ……くっそ、意味わかんない能力使いばっかね……
魔法少女、とかでもなさそうだし……

[メイン2] 皐月夜見 : その切り傷から、無数の漆黒の蝶の群れが溢れ。

[メイン2] デンジ : 「オレだけならともかく女2人まとめてやろうなんて魂胆はよォ〜〜!!」

[メイン2] 美樹さやか : 「……!?」

[メイン2] サーレー : !!?

[メイン2] 美樹さやか : 「アンタ、何してんの……!あたしの魔法じゃ、他人は治せない……!」

[メイン2] 皐月夜見 : 夜見の周囲を、獰猛な荒魂の群れが周回し。

[メイン2] サーレー : 「な 何ッ!!? あの女……生身じゃないとは思ってたがァ~~!! あれも……『スタンド』かッ!」

[メイン2] デンジ : 「男として許せねェよなァ〜〜〜ー!!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………さやかさん、これが、私の力です」

[メイン2] 皐月夜見 : 夜見の腕からは、赤黒い血……ではなく。
"荒魂"が、どくどく、と漏れ続ける。

[メイン2] サーレー : となると……あの青髪の女も……
考えてみればあの剣だけであの石の雨に耐えきれるわけもない
あの剣も……『スタンド』なのか?

[メイン2] 美樹さやか : その掻っ切った傷を、再度見て。
どろどろに、”何か”があふれ出ている。

[メイン2] 皐月夜見 : 手のひらを、遥か上空へ掲げるや否や。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……降りてきてください」

[メイン2] 美樹さやか : 「くッ……」
あたしだけ、我慢ってわけにはいかない……わよね…!

[メイン2] 皐月夜見 : 無数の漆黒の蝶の群れが、殺意の塊として、人を覆い尽くしてしまいそうなほどにまで密集し
上空にいるサーレーへ、凄まじい速度で迫る。

[メイン2] デンジ : 「あぁ!?チェーンがアイツまで届かねえ!!!」
やべぇ…足場もねえからなァ〜

[メイン2] サーレー : 「降りてこい? ハーハッハッハッ!!! 自分の立場をわかってねェなァ~~~!! テメーもスタンド使いのようだが……今はオレが上ッ! 命令される側じゃあねェー! オレが命令する……!!?」

[メイン2] 美樹さやか : 両腕だけを、魔法陣が包み込む。
一瞬の内に、怪我が回復するが。

[メイン2] サーレー : 「うおおおおおおおッ!!?」

[メイン2] 美樹さやか : 「……使って!」

[メイン2] サーレー : 射程距離―――上空のオレにまで届くのかッ!?

[メイン2] 美樹さやか : 地面に刺さっている残り僅かの剣を、思いっきり……

[メイン2] 美樹さやか : 投げつけるッ!

[メイン2] デンジ : 「!」

[メイン2] 皐月夜見 : ……さやかさん……。

[メイン2] 美樹さやか : それは、相手に届かせる力はないけど……

[メイン2] 皐月夜見 : 「感謝致します」
ぺこりと、頭を少しだけ下げ。

[メイン2] 美樹さやか : 十分、”踏み台”には…なるッ!

[メイン2] デンジ : 「助かったぜぇ!さやかぁ!これで届くぜェ〜〜!」

[メイン2] 美樹さやか : 「いいの、そっちこそ大怪我でしょ!」

[メイン2] 皐月夜見 : さやかの放った剣へ、さらに漆黒の蝶の群れが纏い、頑丈な足場へ。

[メイン2] 美樹さやか : にっ、と笑いながら。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……………」
その笑みに、少し口角を上げながら。

[メイン2] サーレー : 連携ッ……クソ! 十分な距離だと思ったがッ! も もっと上るしかねェ!
固定した片足を解除して、すぐに上にあげ……固定! そしてまだ上にあげていない片足を解除し、上にあげ……!! 間に合わないかッ!! こいつらッ……!!

[メイン2] デンジ : 「ちと痛いかもしれないが…我慢しろよォ〜〜〜!!オラァァァァ!!!!!」

[メイン2] サーレー : 「『クラフトワーク』!! 防御しろッ!」

[メイン2] デンジ : 「ハハァッ!見えねえ何かが邪魔してんなァ!」

[メイン2] 美樹さやか : …くっそ、とはいえ……今ので残り吐いちゃったかもな…
……剣も残り一本だし……!

[メイン2] 皐月夜見 : 「………!」

[メイン2] 皐月夜見 : あれは、一体……?

[メイン2] 皐月夜見 : 「………二人組……?」

[メイン2] デンジ : 「でもそんなのもう慣れっこだからよォ〜〜〜!!!」

[メイン2] 美樹さやか : 「…………歯が、届いてない……!」

[メイン2] 皐月夜見 : サーレーの隣に現れた、もう1人の人間。
……いや、人間では、ない。

[メイン2] 皐月夜見 : 荒魂………?

[メイン2] デンジ : 「さらにもう一発だァ〜〜〜!!!」
足のチェンソーを使い振り上げる

[メイン2] : 夜見にだけ見えたそれは
サーレーの傍に佇んでおり、防御の姿勢を取っていた。
これこそが「能力」の正体でもあるが、「スタンド」の概念は夜見は知る由もない。

[メイン2] 美樹さやか : 透明な”なにか”、いや………

[メイン2] サーレー : 「『固定』しろッ!! 「クラフトワーク」ッ!!!!!!」

[メイン2] サーレー : 振り上げられるチェンソーに向かって、拳を叩き込むッ!!

[メイン2] 美樹さやか : ソウルジェムが反応してる、あれも……魔力の何か……?

[メイン2] デンジ : 「なんだァ!?足が動かねぇ!!!」
流石にこの状況じゃ焦るぜ…どうするか…

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………デンジさん!」

[メイン2] 皐月夜見 : 漆黒の蝶の群れが、デンジの足元へ、"床"として広がっていく。

[メイン2] 美樹さやか : 「ひゅう、夜見やるう!」

[メイン2] デンジ : 「あっぶねぇ……助かったぜ!夜見!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………」
さやかとデンジの賞賛の声に、少し照れた表情を見せ。

[メイン2] サーレー : 「クソ……! こいつら……ちいっ結構ブランド物だったんだけどよォ~~~!! 接近戦以外に使える武器も、そこらのビルに着地しねェときついなァ~~!」
固定した靴を捨て、靴に蹴りを入れる。
「使えるもんは使っといて損はねェー……! 『解除』だッ!!」

[メイン2] 美樹さやか : 額から出る血を拭き取りながら。

[メイン2] デンジ : 「見えねえ悪魔なんか使いやがってよォ〜〜!!」

[メイン2] サーレー : 「解除」した靴が回転し、マッハの壁にぶつかる音がすれば
急加速ッ!! 当たれッ……!!

[メイン2] サーレー : 当たらなくとも……!!

[メイン2] サーレー : クラフトワークの拳をまた叩き込んで……!

[メイン2] サーレー : 「固定」……「解除」すればッ!! こいつは地べたのシミになるだろうぜッ!!

[メイン2] 皐月夜見 : 「……ありがとうございます、さやかさん」

[メイン2] デンジ : 「うおっ!!オラァッ!!」
靴を切り刻む

[メイン2] 美樹さやか : 「………え?」
二人の近戦を見ていたが、夜見の方へと向き。

[メイン2] サーレー : 「クソォ~~~!!!! 『クラフトワーク』ッ!!! 「固定」しろッ!!」
拳が空を切る音が響けば、靴を切り刻んだ一瞬の虚を突き
チェンソー頭のスタンドに叩き込もうと

[メイン2] 皐月夜見 : 「………………」
それ以上は、さやかに何も言わず。

[メイン2] サーレー : オレは……あの場面で生き残れたッ!!
あの怪物を、逆境を跳ね返したッ!! ええ! ムンムンと希望とやる気がわいてるんじゃねーかよッ! おいッ! 

[メイン2] サーレー : 叩き込めッ! この拳をッ! 『クラフトワーク』ッ!!

[メイン2] デンジ : 「よく分かんねえけどさぁ!!!お前まではこのチェーンは届くからよォ〜!!!絡み付かせることだって出来るんだぜぇ!!」

[メイン2] サーレー : 「何ィッ!!?」
これはさっき コイツがこっちに近づこうとしたときに飛ばそうとしたチェーンかッ!?

[メイン2] サーレー : 絡みつかせられる前にッ 「固定」ッ…… いや……まずいッ!
クラフトワークの精密動作性は……すこぶる悪いッ!

[メイン2] サーレー : このチェンソー頭に振り下ろした拳が 戻らねえッ!!

[メイン2] サーレー : こっちにッ……! 戻ってこいッ!!

[メイン2] デンジ : 「なんか知らんが身体は動かなくなっちまったけどよぉ…!お前に絡まってるチェーンも固定されちまったなぁ!!!」

[メイン2] サーレー : 「ぐうッ……!! こ コイツ……!!」

[メイン2] サーレー : このまま「解除」すれば……その衝撃はオレにも伝わるッ!!

[メイン2] サーレー : つまり……オレもこいつも……地べたでトマトになっちまうってわけだ……!

[メイン2] デンジ : 「さァ…落下しようぜぇ!!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………!!」

[メイン2] サーレー : 苦虫をかみつぶすような顔をオレは浮かべ
眉間に皺を寄せる―――だが賭けるしかねェ……「落下」しておそらく2秒3秒と満たない時間の間に

[メイン2] 美樹さやか : 「……二人とも…落ちる…!?」

[メイン2] サーレー : コイツと一か八か パワーで勝負すりゃあ……!!

[メイン2] サーレー : 「『クラフトワーク』!! こいつの頭部に叩き込めッ!!」

[メイン2] サーレー : 脳みそ固定してッ!!……ぶち殺してやるよォ~~!!

[メイン2] 皐月夜見 : 純粋な力では、デンジさんの方が上……。
しかし、あの奇妙な術を使う男は……機転が、巧い……!

[メイン2] 美樹さやか : ズキズキと痛む頭を抑えながらも、落ちゆく2人を見つめる。

[メイン2] 皐月夜見 : また、腕を上げ、刀で傷つけようとするも……。

[メイン2] デンジ : 「さっきからクラフトワーククラフトワークって何度も何度も言ってるが…ようやくオレにも見えてきたなァ!!!お前の悪魔がよォ!!」
頭のノコをフル回転させ迎え打つ

[メイン2] 皐月夜見 : ……あの距離では、私のノロは、届かない……!

[メイン2] 皐月夜見 : 無表情で、虚ろな瞳ながらも、デンジとサーレーの激戦を見上げながら。
眉を顰める。

[メイン2] 美樹さやか : 先程治した腕だけは完治しているが。
ただ足はそのまま、傷ついている。

[メイン2] サーレー : 「うおおおおッッ!!! そのノコを「固定」してやるッッ!!!」
何も拳は一つじゃあねェー 二つもあるんだッ! 右腕で殴り掛かり
左腕で……どうにか抜け出す方法を探るしかねェっ!!

[メイン2] 美樹さやか : ゆえに手出しは…出来ない。
ぎりり、と歯ぎしりをしながら落ちゆく様を、目に入れて。

[メイン2] 美樹さやか : ……不甲斐ない、でもあたしが突っ込んでも…あの力に巻き添えになるだけ…!

[メイン2] デンジ : 「問題だぜ…両腕頭左足が固定されちまったこの状況でオレはどうすると思う?」

[メイン2] サーレー : 「あっ?」
オレはそう言われて、たったコンマ1秒ほどだろうか
考えたが、オレはもうコイツには死以外の何物もないと思っていた。

[メイン2] サーレー : 「そんなの……脳みそもハラワタも引きずり出されて 死ぬしかねェーに決まってんだろうがッ! このチェンソー頭がよォ~~~!!!」

[メイン2] サーレー : もう一度喰らえッ!! このチェーンもテメーが死ねば消えるんだろうッ!!

[メイン2] サーレー : 「『クラフトワーク』!! トドメをさせぇいッ!!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「デンジさん………!!」

[メイン2] 皐月夜見 : 手を伸ばしながら、叫ぶことしかできない。

[メイン2] デンジ : 「……残念だったなァ…答えは簡単だぜェ!!右足だァ!!!」
右足のチェンソーを伸ばし建物に食い込ませアイツとの体の位置を入れ替える

[メイン2] サーレー : 「うわっ」

[メイン2] サーレー : 「うおっ」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………!!」

[メイン2] デンジ : 「オレが上でお前が下だァ!!!!!」

[メイン2] 美樹さやか : 「デンジッ…! ……!!」
剣を杖として、立っていたが…

[メイン2] 美樹さやか : すっご、力技で…逆転した…!?

[メイン2] 皐月夜見 : "機転"………!!
接近して、純粋な火力で、白兵戦を挑む……それがデンジさんの戦法と思っておりましたが……
……違う……!

[メイン2] サーレー : 「ぐおおおおッッ!! テメーッ!!」
拳は虚空を切り裂き 何も「固定」できないまま拳を引き戻し―――

[メイン2] サーレー : このままチェーンを外されたら オレだけが落ちちまうじゃあねえかッ!!

[メイン2] サーレー : それに……今更 オレのどこかを「固定」したところでッ!
今度の敵は…… あの二人ッ!

[メイン2] サーレー : クソッ! クソッ! クソッ!!

[メイン2] 美樹さやか : いや違う、ただの力技じゃない…!
近くにあったビルを見て、なおそこで巻き込んで行った…!

[メイン2] デンジ : 「さぁ…落下の時間だなァ……」
右足のチェンソーを外しまた落下に入る

[メイン2] サーレー : オレがここでリタイアだとッ!!
あの逆境を乗り越えたオレがッ!!? こんなガキのスタンドにッ……!!

[メイン2] サーレー : 「こんの……『悪魔』がァッ!!!!!」

[メイン2] サーレー : 最後に、まるで悪あがきのように

[メイン2] サーレー : 拳を、ヤツに叩き込もうと―――

[メイン2] デンジ : 「と思ったけどよォォ!!流石に可哀想だからビルにめり込ませるだけで勘弁してやるぜェ!!」
落下の最中に再度右足のチェーンをビルに食い込ませその勢いでサーレーごとビルに叩きつける

[メイン2] デンジ : 「オラァァ!!」

[メイン2] サーレー : 「ぐおおおぁぁあああぁ―――ッ!!!」

[メイン2] サーレー : ビルに叩きつけられ 見事にめりこみ―――外壁の一部が倒壊するほどの亀裂が入る

[メイン2] 皐月夜見 : 「……凄まじい……!」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………あれが、デンジさんの戦い、ですか……」

[メイン2] デンジ : 「あ〜やっと動けるようになったかぁ…野郎と抱き合うなんて勘弁だぜ」

[メイン2] 皐月夜見 : 豪快に、暴を限りなく振るい尽くすその姿に、目を奪われていた。
その戦闘センス、体力、知謀、全てに羨望を抱いていた。

[メイン2] デンジ : 身体が動くようになったなァ〜コイツも再起不能ってとこかァ〜

[メイン2] 美樹さやか : 「…………」
倒壊そうなほど、ヒビが入ったそのビルを見て息をのんでいたが。

[メイン2] サーレー : 意識が途端に朦朧とする。
痛いだとか苦しいだとかそんなのではない まるで眠りに落ちていくような感覚に陥る……気づけばオレの身体が足元からチリチリと火花を散らしたと思えば
蛍の群れでも飛んでいくかのような光が舞い散り始める

[メイン2] サーレー : 「な……なんだァ……これッ……!!」

[メイン2] デンジ : 「今にも崩れそうだなァ……仕方ねえか…あん?」

[メイン2] 皐月夜見 : ………あちらも、"頑丈"ですね。

[メイン2] 美樹さやか : 「……んん、大丈夫か…」
圧倒的なタフネスと、力……そして、能力の使い方……
悪魔でも見ているような、圧倒的な力。

[メイン2] 皐月夜見 : あの一撃を受けてもなお、息を……。

[メイン2] 美樹さやか : だけど…敵も…それにも匹敵するほどの強さ…ってとこか。

[メイン2] サーレー : オレの身体が 光になって……散り散りに……四方八方に飛んでいきやがる……
痛くはない 痒くもない 何かしらの感覚に違和感を覚えるわけでもない
だが「理解」できたのは……オレがここで『再起不能』になるという事だった

[メイン2] デンジ : 「オイオイ…なんだよそれ…」

[メイン2] 皐月夜見 : ………いえ、これは……。

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………」
………"再起不能"。

[メイン2] デンジ : 「まぁ聞こえてるか分かんねーけど…元気でやれよ」

[メイン2] サーレー : 「そ そうか……そうかよ……クソッ……ふざけやがって……オレの……オレの”希望”はこれで……へっ へへっ……だがここまでやれたんだ……」

[メイン2] サーレー : 「元の世界でもよォ~~~……いけるかもなァ……心臓を『固定』する……いい技かも……なァ~……」

[メイン2] サーレー :  

[メイン2] 皐月夜見 : ………そう、あの方にも……掴みたい願望があり、この戦場に立っていた。

[メイン2] デンジ : 「行っちまったか…さっさとこのビルからも脱出しねぇとなぁ〜」

[メイン2] 美樹さやか : 「……ふうう」

[メイン2] デンジ : 右手にチェンソー生やして適当に降りる

[メイン2] 皐月夜見 : さやかと共に、デンジのもとへ駆け寄り。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……御無事で、何よりです」

[メイン2] 皐月夜見 : 虚ろな瞳で、安堵の表情を浮かべる。

[メイン2] 美樹さやか : パッと消えきるまで固唾をのんでいた。
が、声を上げながらデンジへと。

[メイン2] 美樹さやか : 「……お~~い、大丈夫~!?」

[メイン2] 美樹さやか : 消えゆくその光を少し、見て。

[メイン2] 美樹さやか : ……あいつの意志の強さは…そのまま、この戦いでの強さ……

[メイン2] 美樹さやか : それくらい、譲れなかったってことなんだろうか……。
それを押しのけても、あたしたちは……。

[メイン2] 皐月夜見 : 「…………」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………さやかさん」

[メイン2] デンジ : 「あ〜疲れたぜ〜〜……膝枕でもしてもらえれば回復しそうだなァ〜〜」

[メイン2] 皐月夜見 : 光の先を見つめるさやかの横画を見て。

[メイン2] 美樹さやか : ……くっそ、頭痛いからか変に考えちゃうな。
「まあ、でも…外傷はそれなり……かな……?」

[メイン2] 美樹さやか : 「…ん?」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………これは、戦いです。さやかさんが案ずる必要は、何一つありません。きっとあの方も、この最後は"覚悟"をして、挑んだはずですから。」

[メイン2] 皐月夜見 : そう、淡々と述べながら、デンジの方へ向き。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……?膝枕ですか」

[メイン2] 皐月夜見 : そう言い、その場で正座をし

[メイン2] 皐月夜見 : 「御随意に」

[メイン2] 美樹さやか : 「……そっか、そう……だよね」

[メイン2] デンジ : 「うおっ…最高かよ……」

[メイン2] 美樹さやか : その言葉を、なんとか心の海に沈める様に。
どぽんと、入れ込んだ。

[メイン2] 美樹さやか : 「…って、膝枕…!? まあ、頑張ったし……これくらいは、いいのかな…」

[メイン2] 皐月夜見 : 戦闘で勝利を収めたデンジを労わるように。
これは、先の戦いで何も出来なかったからこそ、夜見が示すべき誠意。
……と考えているようだ。

[メイン2] 美樹さやか : 納得しきっていない。
けどもまあ、怪我してたのはそうだし……

[メイン2] 美樹さやか : 「……まあ、はい」
同じように正座しておく。

[メイン2] デンジ : 「うああぁぁぁぁぁぁ!!」
夜見の膝に頭を乗せる

[メイン2] 皐月夜見 : ………さやかさんも、デンジさんも、優しい。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……………ふふ」
はしゃぐデンジの様子を見て、また微笑を浮かべ。

[メイン2] デンジ : 「後でさやかの膝にも乗るかァ〜〜〜」

[メイン2] 美樹さやか : すっげ~~喜んでる……男の人ってこういうのが好きなんかな……

[メイン2] デンジ : 「つーか2人とも怪我は大丈夫なのかよ…」

[メイン2] 美樹さやか : 「なんで夜見だけ…!?と思ったけど、あたしもか……なんかフクザツ…」

[メイン2] 皐月夜見 : ………この戦いでは、奇跡的に敗退者が出なかった、と考えても良いはず。
あの、謎の固定術を用いる男は、"強者"だった。
だからこそ、この戦場では常に油断が命取りとなることを改めて認識。

[メイン2] 皐月夜見 : 「………御心配には及びません、私は………」

[メイン2] 皐月夜見 : 「……私の体は……」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………お二人の勝利のために、どうぞお使いくださいませ」

[メイン2] 美樹さやか : 「あたしは、まあ……へーきへーき!ほら!」
両腕を掲げ、”怪我していない部分”だけを見せて。

[メイン2] 皐月夜見 : 淡々と、虚ろな眼でそう述べる。

[メイン2] 美樹さやか : 「……そういう言い方なんか嫌だなぁ……」

[メイン2] 美樹さやか : 「つーか、三人のための勝利…でしょ?」

[メイン2] 皐月夜見 : 「……………」

[メイン2] 皐月夜見 : ……私を含めて、ですか……。

[メイン2] 皐月夜見 : 「………やはり、優しいですね」

[メイン2] 美樹さやか : 「……へ?…あっはは、そりゃまあ、そりゃあ……うん…」

[メイン2] 美樹さやか : 笑いながらも、目を逸らす。

[メイン2] デンジ : 「だな、三人のだな…」

[メイン2] 美樹さやか : ……優しい……褒められると、なんか…くすぐったいな…

[メイン2] 皐月夜見 : 「………承知いたしました。」

[メイン2] 皐月夜見 : 「………"3人"の勝利を、目指していきましょう。」

[メイン2] 美樹さやか : こくりと頷きながらも、二人の様子を見て。

[メイン2] 美樹さやか : やっぱ疲れてるよなあ。
怪我も人のこと言えないけど、してないわけではないだろうし……

[メイン2] 美樹さやか : ……他人にまかせっきり、ってのも気持ち悪いしね…
頑張らないと、だね!

[メイン2] 美樹さやか : 初めのころからとは違い、輝きを失いかけているその宝石を、ただみつめながら。

[メイン2] 皐月夜見 : ……私は、私の望を叶えるために、自らこの世界に来た。

[メイン2] 皐月夜見 : でも、今となっては、私はその望みは、叶っているようなもの……。

[メイン2] 皐月夜見 : "認められたい"。

[メイン2] 皐月夜見 : ………この地が、私にとっての、一時的な安らぎの世界となっている。

[メイン2] 皐月夜見 : だからこそ、私は、さやかさんと、デンジさん、このお二人と、いつまでもご一緒できれば………。

[メイン2] 皐月夜見 : …………。

[メイン2] 皐月夜見 : ……時の流れは、無限ではありません。
この隔離された世界で行われている"殺し合い"も、着々と、終結へと向かっていっている。

[メイン2] 皐月夜見 : ………だから、お二人といれる時間も、ごく僅か……と考えると……。

[メイン2] 皐月夜見 : 「……………」

[メイン2] 皐月夜見 : 胸の辺りが、少し、痛い、です。

[メイン2] 皐月夜見 : 膝の上で、にへらと笑うデンジさんの頭を撫でながら。

[メイン2] 皐月夜見 : 表情に乏しい私相手にも、眩しい笑顔と、真っ直ぐな勇敢さ、明るさを見せてくれるさやかさんを見て。

[メイン2] 皐月夜見 : ………離れたくない。
でも、離れる時は、必ず来る。

[メイン2] 皐月夜見 : それならば、私は─────。

[メイン2] 皐月夜見 : ……この剣を………この力を、2人のために……。
使い果たす、のみ……。

[メイン2] 皐月夜見 : それが、私にとっての………。

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 : 3人の勝利。

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 : ですから………。

[メイン2] 皐月夜見 : 私の生き方は、これしか、ありませんので……。

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 : その夜。

[メイン2] 皐月夜見 : 私は、お二人が眠る居室から

[メイン2] 皐月夜見 : こっそりと、抜け出した。

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 皐月夜見 :  

[メイン2] 美樹さやか : 夜が明けて。

[メイン2] 美樹さやか : 夢なんじゃないかって、何度も目を擦った。
あるいは、見間違いとか。

[メイン2] 美樹さやか : でも違う。

[メイン2] 美樹さやか : 「…あいつが、いない」

[メイン2] 美樹さやか : ……どこか胸に残る焦燥感、そして。

[メイン2]   : 『………"3人"の勝利を、目指していきましょう。』

[メイン2] 美樹さやか : あの時の顔は────。

[メイン2] 美樹さやか : 「…………」

[メイン2] 美樹さやか : 「探しに、行かないと」

[メイン2] 美樹さやか : その足は、すぐさまかけていった。

[メイン2] 美樹さやか :  

[メイン2] 美樹さやか :  

[メイン2] 美樹さやか :